種痘するジェンナー

イギリスの医師ジェンナー(E. Jenner)は,産業革命進行中の1749年イギリスに生まれた。
当時,天然痘が人々を苦しめていた。
1798年,ジェンナーは「牛痘の原因と効果の調査」という人体実験に関する報告書を提出した。
彼はその報告書の中で天然痘の予防法を記していた。


以前から,牛にも人の天然痘によく似た病気があり牛痘と 呼ばれていたが,乳搾りをする人に牛痘が感染し手や腕に 水痘ができることがあった。
彼の故郷では“この病気に1度かかると2度はかからないし, その上,天然痘にもかかりにくい”という言い伝えがあった。
ジェンナーはこれを確認するために,人体実験を行った。
まず,牛痘にかかった婦人の手の水疱から液をとり,それを 8歳の少年の腕に接種して症状の軽い牛痘を発症させ, 2ヶ月後に今度はその少年にヒトの天然痘を接種した。
実験は見事に成功し,少年はヒト天然痘にかからずに済んだ。
これが人類初のワクチンの発見である。
それから約200年後の1980年に天然痘はこの世から根絶された。
    ◆種痘に対する一般市民の攻撃◆
     このジェンナーの種痘に対し、激しい反対があった。
    たとえば、
    「人間の血流の中にけものの物質を注入することは、 胸がむかむかするぐらいけがらわしい」
    「正常な自然の進行にあつかましくも干渉することで、 神の摂理への不信を意味する」・・・・


    ワクチンという言葉はパスツールがジェンナーの業績を記念してラテン語の雌牛を意味するvacaから付けた名前
    痘瘡ウイルスは天然痘根絶後、世界で2箇所(米国のCDC とモスクワのウイルス製剤研究所)の実験室にだけ残されている。全塩基配列の決定が終了した後、1995年6月30日までに廃棄の予定であったが,まだ廃棄は実行されていない。