イギリスの動物実験に関する分類

*England, Northern Ireland, Scotland, Walesで法制化されている.
激しい痛みを上回る処置は禁止されている.
(The law prohibits procedures that are considered to be beyond "substantially severe".)

疼痛・苦痛具体例
Mild 採血, 表材組織のバイオプシー
Moderate エンドポイントに死が設定されていない毒性試験, 術後の鎮痛管理が十分になされる外科的処置
Substantial エンドポイントに死が設定されている急性毒性試験, 術後に苦痛が生じるような外科的処置


オランダの動物実験に関する分類

疼痛・苦痛具体例
Minor 無害物質の強制給餌 , 事前に鎮静することなしの殺処分, 採血, 直腸検診, 動物が立ったり横になることができる状態での拘束
Moderate 皮膚の移植, 帝王切開,カテーテルの挿入
Severe 無麻酔での全採血, 遺伝子改変動物の策出, LD50, フッドパットへの免疫あるいはコンプリートアジュバントを用いた免疫


ドイツの動物実験に関する分類

指標疼痛・苦痛(具体例)
0 苦痛、悲痛、危害、恐怖感のない処置(採血, 皮下投与)
1 短時間の軽度の痛みを伴う処置(治療のために保定して注射すること,麻酔下での雄の去勢)
2 短時間の中程度の痛み,または短時間の激しい、または間欠的な激しい痛み, 悲痛, 怪我、多大な恐怖感(骨折などの処置, 麻酔下での卵巣割拠)
3 激しい痛み,または間欠的な中程度の痛み、持続する中程度の痛み、悲痛、怪我または恐怖感(死に至る感染症, 癌の実験で死をもってエンドポイントとする実験)


スイスの動物実験に関する分類

指標疼痛・苦痛(具体例)
0 動物が痛みや強い恐怖,損傷を生じない実験
(行動研究,採血)
1 わずかに苦痛を感じる実験
(カテーテルの挿入)
2 中等度の苦痛を感じる実験
(麻酔下での採血,術後に痛みを感じる実験,毒性試験 )
3 激しい苦痛,強い恐怖,長引く損傷を生じる実験
(侵襲の激しい手術,エンドトキシンショックを起こす実験,動物が最後に死んでしまう毒性試験)

教育・訓練の目的のためには、0と1のみが許される.


フィンランドの動物実験に関する分類

指標疼痛・苦痛(具体例)
Class 0 痛みがないか軽度の痛みの実験
Class 1 実験中あるいは実験後に激しい苦痛やストレスを生じる処置(LD50, 術後にかなりの痛みを伴う実験, 感染実験, 高容量の放射線の照射)
Class 2 軽度の苦痛やストレスを生じる処置(採血, 注射, 一般的な麻酔, 麻酔下での去勢)


オーストラリアの動物実験に関する分類

カテゴリー疼痛・苦痛(具体例)
Category 1.1 生きている動物への処置ではない (安楽死させられた動物の使用)
Category 1.2 麻酔下における実験で、麻酔から覚めることなく安楽死される実験
Category 2.1 麻酔なしでの簡単な処置 (採血, 軽度の食事制限)
Category 3 麻酔下における実験で、術後生存実験
Category 3.1 簡単な手術操作(バイオプシーのような)
Category 3.2 適切な術後管理を必要とする実験
Category 4.1 痛みや肉体的ストレスに関する研究(高温, 寒冷, 火傷, 放射線照射)
Category 4.2 無麻酔の動物に対する、薬物の毒性試験や化学物質、病原体の投与実験
Category 4.3 無麻酔の動物に対する、不動化あるいは長期間にわたる拘束実験
Category 4.4 胎児が異常な発育をするような研究
Category 4.5 同一の動物を3ヶ月以上にわたり使う実験
Category 4.6 餌や水の摂取を極度に制限する実験、あるいは動物の健康に大きな影響を与える給餌法
Category 4.7 子孫が重度の慢性的疾患となる研究 (疾患モデル動物や疾患をもった遺伝子改変動物)
Category 4.8 物理的、科学的処置により動物が極度の行動異常を生じるように計画された研究

Progress in the Reduction, Refinement and Replacement of Animal Experimentation
Global harmonisation of pain and distress classification system: current analysis and opportunity for change(Karen E. Purves)からの抜粋
文責 松田幸久

動物実験委員会参考資料