リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(lymphocytic choriomeningitis: LCM)感染症
病原体
アレナウイルス科、アレナウイルス属
病原体保有動物とヒトへの感染経路
LCMウイルスの自然宿主はノネズミや家ネズミ。
ペットのハムスターや実験動物のマウス(2005年 パスツール研究所ーーー>理化学研究所)。
ネズミでは病気を起こすことはほとんどなく、ウイルスは一生持続感染し、尿に排泄される。これがヒト への感染源となる。
人の症状
普通はほとんど症状は見られない
希にインフルエンザ様症状を示し、ごく稀に致死的脳炎
妊娠中の母親から胎児に感染し先天性水頭症などの例もある
日本では人のLCMウイルス感染の報告はない。
しかし、わが国にもウイルスが存在するとの報告あり。
臓器移植で感染したLCM感染症
2005年4月初め
米国ロードアイランド州に住む女性が脳卒中により死亡
女性の肝臓、肺、腎臓、角膜、皮膚が移植臓器として提供
これら腎臓の提供を受けた4名の患者が、移植後3週間以内に肝臓、肺、肝臓機能障害など、さまざまな症状を示し、 3名は移植後23〜27日の間に死亡
4名の患者からウイルス分離、ウイルス抗体の検出
ドナーの女性はハムスターを最近購入したことが判明し、このハムスターからLCMウイルスが分離
ドナーの女性はペットのハムスターからLCMに感染し、それが移植を介してレシピエントに伝播したと考えられる
LCMウイルスは、人ではほとんど病原性を示さないが、移植で感染した場合には、レシピエントの患者が強い免疫抑制治療を受けるために、 致死的感染をもたらしたものと考えらる。
CDC Morbidity Mortality Weekly Report (May 26, 2005) 人獣共通感染症講義 by山内一也東大名誉教授より
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