結核(tuberculosis)

  1. 病原体

    • 好酸菌・・・分類学的には真菌(myco-)と細菌(bacterium)の中間に位置する微生物群
    • Mycobacteria科
    • 結核菌群
      • M. tuberculosis(ヒト型菌)
      • M. bovis(ウシ型菌)
      • M. microti(ネズミ型菌)
      • M. africanum

    • 本菌は無芽胞の菌としては最も抵抗性が強く60℃30分、70℃5分の加熱に耐える
    • 純アルコールや5%クレゾールに5分間耐える
    • 消毒薬としては、3%石炭酸、0.05%塩化ベンザルコニウムなどが有効

  2. 病原体保有動物とヒトへの感染経路

    • ヒト型はヒトの病原体であるが、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヒツジ、オウムなどに感染する
    • ウシ型は、ウシを始め、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、サルなど広範な動物に感染が認められている
    • ネズミ型はハタネズミ、アカネズミ、トガリネズミから分離されたが、最近の分離例はない
    • 伝播経路は空気感染(飛沫感染)であり、経気道的に伝播する
    • 経口感染や垂直感染などの伝播経路によっても感染が成立する
    • 感染の主なキャリアはヒトとウシである。
    • わが国の動物における結核の発生は極めて少ない

  3. 人の症状

    • 本菌に感染したヒトでは肺がよく侵され、臨床症状としては咳、微熱などを示す

    動物の症状

    • 実質臓器やリンパ節に結核結節をつくる
    • 慢性的な衰弱ないし削痩
    • 呼吸器に病変が存在する場合には、間欠的な短い咳などの症状

  4. 診断

    • 塗末、染色、鏡顕および菌の分離、同定
    • 染色には Ziehl-Neelsen染色
    • 分離用培地は小川培地、Lowenstein培地など
    • 可能性のある動物にはツベルクリン反応が有効
  5. 予防

    • 実用的なワクチンによる予防法は今のところない
    • ツベルクリン反応を実施し、陽性個体の安楽死

  6. 治療

    • ヒト:化学療法を行う
    • 動物:殺処分

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