イヌ・ネコ回虫感染症
- 病原体
- 感染源となりうる動物
- 人の症状及び感染経路
- “公園の砂場が虫卵に汚染されている”として話題になった感染症。
- イヌ、ネコなどのペットのフン便から、人の体内に侵入した回虫は、成虫になれずに体内を移行して内臓や眼に入り、
幼虫移行症と呼ばれるさまざまな障害を引き起こす。
- アメリカの症例では、陽性患者の67%が眼幼虫移行症、20%が内臓幼虫移行症で、眼幼虫移行症の患者の95%が明らかな視覚障害を持ち、
20%が片目あるいは両目を失明していた。
- 日本でも最近失明例が出ている。
- 組織内に寄生した幼虫に対しては、確実な治療法は存在しない。
- 眼移行例の治療法も確立していない。
- 動物の症状
- 感染していても症状が現れない「不顕性感染」がほとんど。
- しかし、幼犬に多数の成虫が寄生した場合は、腹部の異常膨大、呼気の特異的甘臭、異嗜、元気消失、発育不良、削痩、貧血、皮膚弛緩、被毛粗剛、
食欲不振、便秘、下痢、腹痛、嘔吐を起こす。
- 体内に幼虫が寄生している雌イヌが妊娠すると、胎盤や乳汁などを通して子イヌに感染する。
- 発生状況
- 世界的に発生している。日本では1965年〜1991年の間に、イヌ回虫による症例が96例、ネコ回虫による症例が21例報告されている。幼・小児に多く発生するといわれていたが、高齢層の発生も増加傾向にある。
- 予防・治療
- イヌ・ネコとの接触後や砂場で遊んだ後は石鹸でよく手洗いし、虫卵の経口摂取を避ける。
- 子イヌの飼育を始めるときには糞便検査をし、獣医師の指示のもと定期的に駆虫薬を投与する。
※駆虫後に虫卵が排出されていない(成虫が駆虫された)ことを確認する。
- イヌ・ネコともに感染予防のためのワクチンはない。