トキソプラズマ症

  1. 病原体

    • トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)

  2. 病原体保有動物とヒトへの感染経路

    • ネコ
    • ネコではフン便とともに排泄されるオーシストが口に入ることで感染
    • 豚肉などに潜むシストが口に入ることによっても感染します
    • 加熱不十分な豚肉などに生き残っているシスト(オーシストが発育したもの)が問題となることがありる

  3. ヒトの症状

    • 先天性感染

      • 病原体が母体から胎盤を経て胎児に移行した場合、死流産を招いたり、網脈絡膜炎、脳水腫、脳内石灰化、神経・運動障害、発熱、リンパ節腫大、貧血、発育不良などを引き起こすことがある。
      • まれに、生後1年〜10年以上経ってから網脈絡膜炎、中枢神経障害が現れることもある

    • 後天性感染

      • 多くの場合、感染していても症状が現れない「不顕性感染」

  4. 動物の症状

    • 感染した動物は、不顕性感染

  5. 発生状況

    •  日本ではネコの5%が感染歴を有し(1994〜1999年の調査)、ネコの0〜1%がオ−シストを排出しているとされている(1970〜1990年の調査)。オーシストを排出するネコは生後1年以内の子ネコで、短期間に免疫を獲得し、オーシストの排出は止まる。繁殖期後の子ネコの多い時期は特に危険な時期といえる。

  6. 予防治療法

    • ヒトの場合

      • 抗生物質を投与
      • 屋内外の出入りを自由にしているネコ(とくに幼ネコ)のフン便は、24時間以内に処理する。
      • ネコの食器類やトイレは熱湯消毒を行う(60℃・30分、80℃・1分、100℃・数秒でオーシストは死滅する)。
      • とくに妊婦のいる家庭では、妊娠期間中ネコに予防剤を投与(オーシスト排泄阻止効果)するのも効果的。

    • 動物の場合

      • 無症状であるため、治療対象にならない。
      • ネコの便中のオーシストが環境を汚染しないように、毎日ネコの便器を清掃消毒する。
      • 生肉類は与えない。
      • 複数のネコが水飲み容器を共有しないようにする。
      • とくに行動が活発となる3〜4ヶ月齢のネコは屋外に出さない(室内飼育が理想的)。
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