オウム病(psittacosis)

  1. 病原体

    • Chlamydia psittacii

  2. 病原体保有動物とヒトへの感染経路

    • 主には鳥類
    • 感染した鳥の羽毛や鼻汁、乾燥して粉末状になった排泄物を吸い込んでしまうことで感染
    • ペットの鳥に口移しでエサを与えることでも感染する。
    • イヌやネコなどのペット、家畜、野生動物、爬虫類、両生類、魚介類にまで感染することがわかっている。

  3. ヒトの症状

    • 1〜3週間の潜伏期間の後、インフルエンザのような高熱をともなう激しい頭痛、全身の倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状が現れる。
    • はじめは乾性、あとから湿性となる咳がある。
    • 重症となると39〜40℃以上の高熱が10〜14日間ほど続き、血痰、チアノーゼが見られることもある。熱はその後、ゆっくりと下がる。
    • また、肺炎症状は激しくないものの、肝機能障害や、重症になると多臓器不全などを引き起こすこともある。

  4. 動物の症状

    • 感染した動物は、不顕性感染

  5. 発生状況

    • 2000〜2005年の間に225人の患者数が報告されている。鳥類のクラミジア保有状況の全国的な調査は行われていないが、オウム病の感染源となった鳥類の追跡調査では、60%がオウム・インコ類であり、その内の3分の1はセキセイインコであった。5〜6月の鳥類の繁殖期に患者数が多い傾向が見られ、子どもより成人、特に40〜70歳が多く、女性に多く見られる。

  6. 予防治療法

    • ヒトの場合

      • テトラサイクリン系の抗生物質を投与する。
      • 鳥カゴは常に清潔に保ち、粉末状になった排泄物を吸い込まないよう工夫する。
      • 可能な限り室内で飼育する。
      • 鳥が死亡した場合は焼却処理する。
      • 感染の可能性が考えられる場合は、鳥との接触を医師に伝える。

    • 動物の場合

      • 無症状であるため、治療対象にならない。
      • ただし、人への感染源として特定された場合は、抗生物質(テトラサイクリン系)を投与する。
      • 新しく鳥を入手した場合、2週間は他の鳥と接触させず、健康状態を観察する。
      • 抗生物質を餌に混ぜ、予防的投与を行うと、さらに効果的。特別な予防法は存在しない。
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