レプトスピラ病
病原体
スピロヘータの一種レプトスピラ属Genus
Leptospira
細菌、多くの血清型あり
L. icterohaemorrhagiae
L. canicola
など
一般の消毒薬で死滅
熱にも乾燥にも弱い
電子顕微鏡像
病原体保有動物とヒトへの感染経路
保菌動物・・・げっ歯類、イヌ、ウシ、ブタなど
ヒトへの感染源としてはげっ歯類が最も重要な動物であるが、生活環境の中でより接触の機会が多いイヌについても問題となる。
これらの動物の腎臓に保有され、尿中に排泄される。
ヒトへの感染は保菌動物の尿に汚染された水や泥土を介した経皮感染が最も多く、健康な皮膚を通じても感染が成立する。
ヒトの症状
血清型により異なる。
ヒトに対して最も強い病原性を発揮するのはL. icterohaemorrhagiaeで、この感染症がワイル病である。
ワイル病は、出血性黄疸ともいわれ血管系統、肝臓、腎臓などを冒し、発熱、出血、黄疸、肝障害、腎障害をおこしす。死亡例もある。
動物の症状
イヌの急性感染では嘔吐、発熱、腎炎、脱水を起こし、死に至ることもある。
生存イヌは菌を排出するため危険である。
発生状況
近年の日本では、2003年に1人、2004年に18人、2005年に17人の患者数が報告されている(2003年の法改正により、4類感染症に指定され、全数把握の対象となった)。過去には昭和12、13、14年の3年間で9千人の患者数があり、2千人以上が死亡した事例がある。
動物の診断、治療、予防
確定診断は血清診断、病原レプトスピラの検出(暗視野顕微鏡)
レプトスピラは抗生物質感受性で、ストレプトマイシン投与。
人・イヌともに感染の恐れがある場合にはワクチン接種が予防に有効。
イヌ用ワクチンは混合ワクチンの形で、広く接種されている。
back