カンピロバクター感染症(Campylobacter infection)
- 病原体
- Campylobacter属菌のCampylobacter jejuni(グラム陰性微好気性菌、螺旋状形態を示す)
- Campylobacter属には多くの菌種が知られているが、最も重要な菌種はCampylobacter jejuniである
その他に
- C. coli
- C. fetus
- C. sputorum
- C. hyointestinalis
- 病原体保有動物とヒトへの感染経路
- C. jejuniの感受性動物はハムスター、イヌ、ネコ、サル、ニワトリ
- C. jejuniは経口感染し、糞便中に排出される
- 本菌に汚染された飲水、飼料の摂取により感染する
- ヒトでの感染経路は本菌汚染食物摂取であり、感染動物との接触によってヒトに本病が広がることはほとんど無いと考えられる
- ヒトでの症状
- C. jejuniは下痢を伴う食中毒の原因菌の一つである
- ヒトの感染例の大半はニワトリなどの汚染食物(トリワサなど)の摂取である
- 動物の飼育中や動物実験の過程で、実験動物からヒトへ感染した例はあるが、まれである
- 動物の症状
- 感染動物の多くは発病を伴わない保菌状態となる
- 幼弱動物は感受性が高く、水溶性下痢や粘血便の排出を伴う腸炎を起こす
- 発生状況
- 下痢症患者の20〜40%からカンピロバクターが検出されているが、原因食品が特定しにくいとされている。下痢をしているイヌとの接触や、子イヌ飼育者の感染も多いようである。汚染された牛乳からもカンピロバクター感染が発生している。
- 診断
- 確実な診断は菌の分離・同定による
- 糞便をSkirrow培地に接種し、10%炭酸ガスインキュベーターを用いた42℃48時間の培養が一般的
- 予防
- SPFでない動物での本病の予防は困難
- 汚染動物の導入防止と、飼料の加熱処理
- 60℃5分の加熱で死滅するが、低温(4℃)で長期間生存可能
- 一般の消毒薬が有効
- 家畜では飼料内に抗生物質を混入する予防対策が取られることがある
- ヒトの治療