トリ結核(Avian tuberculosis)
- 病原体
- Mycobacteria属のトリ結核菌(Mycobacterium avium suvsp. avium)
- 本菌は無芽胞の菌としては最も抵抗性の強い細菌
- 60℃30分、70℃5分の加熱に耐える
- 純アルコールや5%クレゾールに5分間耐える
- 消毒薬としては、3%石炭酸、0.05%塩化ベンザルコニウムなどが有効
- 病原体保有動物とヒトへの感染経路
- 本菌はトリ以外にブタ、ウシ、ヒツジに感染が認められる
- イヌ、ネコ、サルにもまれであるが感染がみられる
- 創傷および術後感染による経皮的な伝播は知られているが、はっきりした伝播様式は不明
- ブタにおける床敷用オガクズおよび感染ブタの糞便を介する間接接触
- わが国において野鳥および動物園で飼育されている鳥類における発生は報告されているが、ニワトリにおける発生はない
- 人の症状
- 本菌に感染したヒトでは肺がよく侵され、臨床上のみならず病理組織学的にも肺結核とよく似た所見(肺結核類似症)を呈する
動物の症状
- 本菌に感染したニワトリでは削痩、産卵低下がみられ、多くは数ヶ月以内に死亡する
- 肝臓、脾臓、腸などに結核結節をつくる
- ブタではリンパ節に肉芽腫を形成する
診断
- 病理組織学的検索
- 塗末、染色、鏡顕
- 菌の分離、同定
- 血清学的診断として全血凝集反応、ELISA
- サル、ブタではツベルクリン反応が有効
予防
- 実用的なワクチンによる予防法は今のところない
- ツベルクリン反応を実施し、陽性個体の安楽死
治療
- ヒト:化学療法剤による治療を行うが、既知の抗結核剤に対する本菌の感受性は低く効果的な治療は困難
- 動物:殺処分