炭 疽

第4回懇話会(昭和55年)
西仙北町の放牧牛に感染
  1. 病原体

    • 炭疽菌(Bacillus anthracis) 、グラム陽性、芽胞形成性桿菌
    • 人類史上最初に発見された病原細菌
    • Kochが1856年に固形培地での純培養に成功
    • Pasteurが1881年に弱毒生ワクチン(ウシ、ヒツジ)の実用化に成功

  2. 病原体保有動物とヒトへの感染経路

    • ほとんどのほ乳類
    • 草食獣(ウシ、ウマ、メンヨウ、ヤギ、ブタ)は感受性が高い・・・家畜の法定伝染病
    • 一般にはまれな疾患。食肉、皮革、獣毛などを取り扱うヒトへ感染

  3. ヒトでの症状

    • 皮膚炭疽(95%)
      • 皮膚の小さな傷口から感染し、感染後2〜3日後にニキビ様の発赤
      • 3〜4日後に水疱形成
      • 多くの場合黒色の炭疽癰(よう)と呼ばれる痂皮を形成し、治癒する。
      • まれに菌が局所リンパ節から血中に入り敗血症に発展する。

    • 肺炭疽(バイオテロ)
      • 芽胞の吸入により感染
      • 風邪様症状(発熱、悪寒、倦怠など)の後、呼吸困難、チアノーゼ、昏睡が起こる。
      • 急性症状が出た後、24時間以内に死に至る可能性が高い。

    • 腸炭疽
      • 炭疽に感染した動物の肉を食することにより感染
      • 嘔吐、腹痛、吐血、出血性下痢などの消化器症状
      • ショック、チアノーゼ、昏睡が起こり、肺炭疽と同様致死率が高い。

  4. 動物の症状

    • 発熱、眼結膜の充血、呼吸・脈拍数の増加。
    • 発症後24時間以内に敗血症死
    • 天然孔からの暗赤色タール様の出血が特徴

  5. 予防、治療

    • 予防として動物には弱毒生ワクチン
    • 家畜では本病が生前に診断されることはほとんどなく、治療することはほとんどない。
    • ヒトに対しては抗生物質投与(ペニシリン、テトラサイクリン、ストレプトマイシンなど)
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