Q熱(Q fever)

  1. 病原体

    • Coxiella burnetii

  2. 病原体保有動物とヒトへの感染経路

    • イヌ、ネコ
    • 感染したペットとの生活のなかで感染したり、排泄物や分娩の際の胎盤などから病原体を吸引し、感染することがある。
    • ウシやヒツジ、ヤギなどの家畜のほか、カラスやクマ、キツネ、サルなどの野生動物も保菌率が高いと言われている
    • 感染したウシ、ヒツジ、ヤギなどの生乳や乳肉製品を食べることで感染する可能性も考えらる
    • 自然界ではマダニが動物から動物への感染を媒介
    • マダニから人に直接感染することはないと言われている。

  3. ヒトの症状

    • 急性の場合

      • 14〜26日の潜伏期間の後、39℃前後の発熱や微熱の持続、頭痛、悪寒、関節炎、眼痛など、インフルエンザに似た症状が現れる。
      • 進行すると気管支炎、肺炎、髄膜炎などを起こす。
      • 治療が遅れると死に至る場合もあります。

    • 慢性の場合

      • 長期にわたる疲労感、慢性肝炎、心筋炎、心内膜炎、動脈炎などがあり、不定愁訴を示す場合もある。
      • 登校拒否やうつ病といった精神的な問題と間違われる場合があるので注意が必要
      • 海外では死亡例も報告されている

  4. 動物の症状

    • 感染した動物は、不顕性感染
    • 感染している場合は、乳汁や糞便に病原体を排泄し、新たな感染源となる可能性がある
    • 妊娠の際に感染すると、流産や死産を起こすこともある
    • 排泄された胎盤にも病原体が多く含まれるので注意が必要

  5. 発生状況

    • 日本では2000年から2005年の間に137例の患者数が報告されている。諸外国では熱性呼吸器疾患の起因菌の1つとして広く認識されており、オーストラリア、イギリス、ドイツ、アメリカ等で年間十から数百例報告されている。実際には報告されていない症例が相当あるとも言われている。

  6. 予防治療法

    • ヒトの場合

      • 急性の場合、テトラサイクリン系の抗生物質を投与する。
      • 慢性の場合、テトラサイクリン系とリファンピシンやリファンピシンとのST合剤、あるいはテトラサイクリン系とニューキノロン系の抗生物質を併用する。

    • 動物の場合

      • 保菌状態でも無症状であるため、治療対象にならない。
      • ただし、人への感染源として特定された場合は、抗生物質(テトラサイクリン系)を投与する。
      • 特別な予防法は存在しない。
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