リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCM)感染症
- ウイルスの構造と性状
- 概要
CDC Morbidity Mortality Weekly Report (May 26, 2005)
人獣共通感染症講義 by山内一也東大名誉教授
- 2005年 4月初め
- 米国ニューイングランド地方のロードアイランド州
- 脳卒中により1人の女性が死亡
- 肝臓、肺、腎臓、角膜、皮膚を移植臓器として提供
- これら腎臓の移植を受けた4名の患者が、移植後3週間以内に肝臓、肺、肝臓機能障害など、さまざまな症状を示す
- 3名(肝臓、両肺、片方の腎臓)は移植後23〜27日の間に死亡
- 反対側の腎臓の移植を受けた1人の患者は発病したが回復
- 4名の患者からウイルス分離、ウイルス抗体の検出
- ドナーの女性はハムスターを最近購入したこと判明
- このハムスターからLCMウイルスが分離
- ドナーの家族にLCM抗体が見つかる
- 調べることができたドナーの臓器からはLCMウイルスは見つからなかったが、状況証拠から、ドナーはペットのハムスターからLCMに感染、それが移植を介してレシピエントに伝播
- LCMウイルスは、人ではほとんど病原性を示さないが、移植で感染した場合には、レシピエントの患者が強い免疫抑制治療を受けるために、致死的感染をもたらしたものと考えらる。
人がLCMウイルスに感染した場合の症状
- 普通はほとんど症状は見られない
- 希にインフルエンザ様症状を示し、ごく稀に致死的脳炎
- 妊娠中の母親から胎児に感染し先天性水頭症などの例もある
- 日本では人のLCMウイルス感染の報告はない。
- しかし、わが国にもウイルスが存在するとの報告あり。