2/3で、河川敷や放牧に適さない牧場内の丘陵地に分布しております。ここには貴重な樹種も生育しており、その保全にも力が注がれていました。
1千ヘクタールの土地を所有し、小規模な牧場も経営している農牧研究所の職員から「日曜日は暇かい?所有地に滝があるから見に行こう」誘われて河畔林の中を歩いた。川の周囲には高さ8mほどの色々な木が生えている天然林で、両岸は所々に急な斜面があり、そこには牛が川を横切った道ができていた。林内には人が歩けるような道がなく、虫が飛び交う中を、川伝いに丈の低い灌木が足にまつわるなどして滝に向かった。滝は高さ5mほど、水量はほどほど、季節によっては?と心配される量でした。帰途、幹に付着し見事な花を咲かせているランを2株発見し、その美しさに歩行の苦しさも何処へやら、滝以上にこちらのランに魅了さてしまった。終わって、青空のもと広い放牧地の中で「ここを目玉に観光施設を作りたい」持ち主の将来の夢を聞きながらご馳走になったアサードは、この上もなく美味しかった。
5. 国境の町
ウルグアイの北部にはブラジルと国境を接している市や町が数カ所ある。タクワレンボから北へ110km行くと、ブラジルとの国境の町リヴェラがある。ここでは国境を挟んで双方に町が形成されており、ウルグアイ側がリヴェラ、ブラジル側がリベラメントと呼ばれている。町の中心に、中央に国境線が走る公園があって、この周辺は免税店を含む多くの商店やホテルが建ち並び、商活動の盛んな賑やかな地帯となっている。
双方の住民は全く自由に往来でき、私もブラジル側の大きなスーパーへ食糧等の調達によく出かけました。ウルグアイでは求めることの出来ないインスタントラーメンがあったり、野菜類も新鮮で種類が多く並べられている。キャッサバもここで買ったものが美味しかった。買い物ばかりでなく、観劇もホテルヘの宿泊も総て自由で、支払いは両国の紙片のほかドル紙幣も使用できた。ただブラジル側への電話は、例え目の先にあっても、国際電話扱いとなった。
リヴェラメントの街並み散策も全く自由で、何の不安感もなく楽しむことができた。国境の町のこのような安堵感はリヴェラだけでなく大西洋沿岸にある国境の町チュウイでも同様でした。街並みこそ小さいが、町の中央道路に国境が走り、リヴェラと同様に多くの商店が並んでいた。チュウイには米(ジヤポニカ米)をはじめ日本の食材や調味料などを並べた日系人経営の店があり、2度ほど訪れました。
他国と海で隔てられた島国育ちの我々には、陸続きの国境の町には検問という厳めしさと他国という不安を抱くが、ここでは全く心配ご無用、国境の町のこのような雰囲気がとても羨ましく感じられました。
世界のあちらこちらでいざこざが絶えないが、国境の町で体験したこの雰囲気が少しでも多くの地域に広まれば、世の中、平和になるのではと思われて仕方がありません。
JICA帰国専門家秋田連絡会会報ー12周年記念特別号ー(2004年)から