平成12年12月25日
各国立大学医学部長・医科大学長殿

動物実験に関する情報公開について


国立大学医学部長会議
第8小委員会
1、平成13年4月1日の情報公開法施行に伴い、この小委員会に関連する事項としては動物実験等に関する文書の公開要求が国立大学長になされることが考えられるので、対応を検討しておく必要がある.

2、動物実験指針、施設の利用手引き、動物実験委員会内規等は整理し、いつでも開示できるようにしておく必要がある.

3、公開について検討を要する文書として、“動物実験計画書”(以下計画書という)がある.これには実験責任者名や動物実験計画の目的等個々の情報が書き込まれているので、以下の対応が必要となる.
1)動物実験計画書そのものは行政文書に該当することから開示の対象となろう.
2)個人識別性の情報は事項的に不開示情報とされているところから(総務庁ホームページ)、開示に当たっては個人識別情報を除く必要がある.
3)研究者のプライオリティーに関しては、個人の未発表の研究論文や研究計画等の情報で、開示した場合、財産権その他の個人の正当な利益を害する恐れがあるものは不開示情報とみなしえることから、個別の対応が必要となる.具体的には計画書の申請にあたり、研究目的、具体的な研究計画等について申請者に開示、不開示の希望を示させ、動物実験委員会(以下委員会という)での承認に当たって対応をあらかじめ決定しておくこと等の対応が必要となろう.既に承認済の計画書について開示を求められた場合には、個別に申請者の意向を確認した上で委員会が対応を判断することになろう.
4)プライバシーとプライオリティーに関らない情報、たとえば動物の苦痛除去の方法、動物の入手先の情報は開示の対象になると考えられる.
5)動物の苦痛除去の方法については、とりわけ関心が高いので、一般的なカテゴリー(Laboratory Animal Science, Special Issue, January 1987)を計画書に付すことが望まれる.この分類に関しては、計画書提出時に申請者が分類し、委員会の承認に当たって委員会が確定しておく等の対応が考えられる.

具体的な動物実験計画書の書式については国立大学動物実験施設協議会の専門委員会で検討されているので、必要に応じてそれらを参考として適正な書式を作成することが求められる.その場合、開示対象部分を記載した計画書と不開示対象部分を記載した計画書を分けた様式にすることや、統一した計画書で、不開示対象部分を墨塗りして開示するなどの対応が考えられる.

4、動物実験を行うすべての部局で、以上に述べられた対応について全学的に統一された見解のもとで行なわれなければならない.