動物に権利はあるか(The Animal Rights Controversy)

ローレンス・プリングル著 田邊治子訳

NHK 出版


 既に本書を持っておいでの方も多いと思いますが,その中から収容施設の犬,猫に関する部分を抜粋します.

citation##################

 1940年代にアメリカ連邦政府の担当部局は,癌や心臓血管疾患などの研究のために資金を投じ始めた.その結果,実験動物(大部分はげっし類であるが,犬や猫も含まれている)に対する需要が増大したのである.そこで,1948年以後各州は,動物収容所や動物保護施設に収容した犬や猫を研究所に引き渡すことを求める法律を定めた.

 ところで,アメリカの動物保護施設の多くは,各地の動物愛護団体が運営しており,これらの団体は,迷子の動物や飼い主が連れてきたペットに,新しい飼い主を見つける活動をしてきた.そして,ほとんどの犬や猫は引取り手がなく,痛みのない方法で処分されているのが実情である.各地の動物愛護団体は,収容施設の動物を研究所に引き渡すことに対して反対運動を展開してきたが,1950年代に,動物福祉協会や合衆国動物愛護協会のような新しい組織ができて,動物実験に対する批判の声はますます強くなってきた.

 マスコミが,研究所に犬を売り渡す業者のやり方(研究所で犬の需要が増大したため,悪質な業者が飼い犬を捕まえて研究所に売り渡した.)を報道し始め,世間に広く知られるようになったため,1966年に連邦政府の実験動物福祉法が制定されるようになった.その結果業者と研究所はライセンスが必要となった.

この法律はその後,1970年と1976年に修正され,動物福祉法と名称を改めた.

#################citation
譲渡犬の問題

施設Home Page へ戻る