平成24年度実験動物慰霊式


 平成24年度秋田大学動物実験慰霊式が10月3日(水)午後3時から動物実験部門玄関脇にある実験動物慰霊碑前において開催されました。 一時は颱風による天候の悪化も心配されましたが、雨にあうこともなく128名の参加者が集まり、動物実験に使われた動物たちの御霊に感謝の意が捧げられました。

  1. 開式の辞
  2. 挨  拶
    • バイオサイエンス教育・研究センター 動物実験部門長 佐々木 雄彦 教授 
    • 医学部長 澤田 賢一 教授 
  3. 黙  祷
  4. 慰霊のことば(麻酔・蘇生・疼痛管理学講座 合谷木 徹 講師)
  5. 献  花
  6. 挨  拶(副センター長 松田准教授)
  7. 閉式の辞
 

医学部長挨拶

 本日ここに平成24年度の秋田大学実験動物慰霊式を執り行うにあたり、医学部の教職員並びに学生を代表し、医学研究のために尊い生命を捧げられた実験動物の御霊に対して、衷心より哀悼の意を表します。

医学・医療の進歩は日進月歩であり、医学研究の推進は病者の健康を回復し、広く人類の福祉に貢献するものです。私たちは、研究のために捧げられたもの言わぬ動物たちの生命の重みをあらためて認識し、研究者としての気持ちを引き締めていく所存です。

 医学医療の倫理が協調される時代になりました。私共は、同じ生きとし生けるものとして、動物の命に対しても強い倫理観を持って行動していきます。

 秋田大学医学部の研究者を代表して、医学・医療の発展のため、研究に供された動物たちの冥福を心から祈念いたします。
 終わりに臨み、研究のために捧げられたもの言わぬ動物たちの生命に報いるためにも、秋田大学の医学研究のますますの発展を祈念し、式辞といたします。

 

平成24年10月3日
秋田大学医学部長
澤田 賢一

慰霊のことば

 平成24年度秋田大学実験動物慰霊式に当たり、利用者を代表し、医学医療の発展ために尊い命を捧げていただいた多くの実験動物に対し、謹んで慰霊の言葉を述べさせていただきます。 平成23年度における本学動物実験部門において実験に使用された動物は、マウス54,863匹、ラット1,964匹、ウサギ63匹、モルモット24匹、イヌ1匹と合計56,915匹を数えました。 これらの実験動物により得られた成果は基礎医学、臨床医学、獣医学の分野の多岐にわたり、多くの論文や学会発表がなされました。また、5名の方が動物を用いた研究により本学で学位を取得しております。

 近年のめざましい医療の進歩は私たちがより健康に生活できるよう多くの恩恵を与えて参りました。具体的には、様々な疾患における新たな治療法、診断法、新薬の開発などが挙げられますが、これらは数多くの実験動物の犠牲の植に成し遂げられてきたことは言うまでもありません。私たちは、医療の発展のために犠牲となった多くの実験動物に対して、常に哀悼と敬意の念を忘れることがあってはなりません。

 
 動物実験を行う私たちには,動物の尊い生命を犠牲にして得られた貴重な情報を,広く社会に貢献できる成果として還元するという重大な責務があります.そのために私たち研究者は,動物実験に際して、その実験にどのような学問的な意義があるのかを十分検討し、第三者の評価に耐えられるような無駄のない緻密な実験計画を立案する必要があります。それには、動物愛護の精神を尊重し、使用する動物数を必要最小限に止め、動物に対して無用なストレスや苦痛を与えないよう常に留意するとともに、培養細胞などを用いた代替実験の可能性についても検討しなければなりません。 私たちがこのような努力を払って初めて,一般社会の理解が得られるような真に有益な研究が遂行され、未知の病態解明と難治性疾患の治療法の開発など医学医療のさらなる進歩に必ずや貢献するものと期待されます。

 より有効で安全な診断法や治療法を開発するためには、現時点では、どうしても動物を用いた実験に依存せざるを得ないという実情があります。我々研究者は、実験動物の命により得た研究成果を社会に還元することを使命とすると同時に、医学の進歩の多くの部分を実験動物に依存しなければならない事実を広く社会に周知し、理解を求めていく責務があり、そのことによって初めて犠牲となった動物への供養が果たされるものと考えます。

 最後に、本学における医学研究のために尊い命を捧げ犠牲となられた多くの実験動物に対し、謹んで感謝と敬意の念を表し、我々の健康や福祉が動物たちの命のうえに成り立っている事実を再認識して研究に従事していくことを誓い、慰霊の言葉といたします。

平成24年10月3日    
秋田大学医学部麻酔・蘇生・疼痛管理学講座
合谷木 徹      
秋田大学医学部実験動物慰霊式