平成21年度実験動物慰霊式


 平成21年度秋田大学動物実験慰霊式が9月11日(金)午後4時から動物部門玄関脇にある実験動物慰霊碑前において開催されました。 心配された雨も、開式前には晴れ上がり 108名の参加者が集まり、動物実験に使われた動物たちの御霊に感謝の意が捧げられました。

  1. 開式の辞
  2. 挨  拶
    • バイオサイエンス教育・研究センター長 茆原 順一教授 
    • 医学部長 本橋 豊 教授 
  3. 黙  祷
  4. 慰霊のことば(消化器内科学講座 堀江 泰夫講師)
  5. 献  花
  6. 挨  拶(動物実験部門長 佐々木雄彦教授)
  7. 閉式の辞
 


慰霊のことば

 平成21年度秋田大学バイオサイエンス教育・研究センター実験動物慰霊式に当たり、利用者を代表し、犠牲となられた多くの実験動物に対し謹んで慰霊の言葉を述べさせて頂きます。 平成20年度における本学動物実験部門において実験に使用された動物は、マウス23,614匹、ラット3,233匹、ウサギ251匹、モルモット81匹、イヌ14匹、ネコ2匹と合計27,195匹を数えました。これら多くの尊い命の犠牲により、基礎医学、臨床医学、獣医学の分野において貴重な研究成果が得られ、66編の論文、184件の学会発表がなされました。また、18名の方が動物を用いた研究により本学で学位を取得しております。

 医学のめざましい進歩は、数多くの実験動物の犠牲の上に成し遂げられたものであります。具体的には、様々な疾患における新たな治療法や診断法の確立、あるいは新薬の開発などが挙げられます。また近年では、複雑な生命現象をより詳細に理解することを目的として、 マウスを中心とした遺伝子改変動物の作製およびその解析が盛んにおこなわれ、その数は年々増加傾向にあります。このように、我々の社会を支えている医学医療のためには実験動物が不可欠であり、犠牲となった動物のかけがえのない生命に対する哀悼を忘れることがあってはなりません。

 
 動物実験を行う私たちには,動物の尊い生命を犠牲にして得られた貴重な情報を,広く社会に貢献できる成果として還元するという重大な責務があります.そのために私たち研究者は,動物実験に際して、その実験にどのような学問的な意義があるのかを十分検討し、第三者の評価に耐えられるような無駄のない緻密な実験計画を立案する必要があります。それには、動物愛護の精神を尊重し、使用する動物数を必要最小限に止め、動物に対して無用なストレスや苦痛を与えないよう常に留意するとともに、培養細胞などを用いた代替実験の可能性についても検討しなければなりません。 私たちがこのような努力を払って初めて,一般社会の理解が得られるような真に有益な研究が遂行され、普遍的価値の高い世界的な研究成果へとつながるものと考えます。

 より有効で安全な診断法や治療法を開発するためには、現時点では、どうしても動物を用いた実験に依存せざるを得ないという実情があります。我々研究者は、実験動物の命により得た研究成果を社会に還元することを使命とすると同時に、医学の進歩の多くの部分を実験動物に依存しなければならない事実を広く社会に周知し、理解を求めていく責務があり、そのことによって初めて犠牲となった動物への供養が果たされるものと考えます。

 最後に、本学における医学研究のために尊い命を捧げ犠牲となられた多くの実験動物に対し、謹んで感謝と敬意の念を表し、我々の健康や福祉が動物たちの命のうえに成り立っている事実を再認識して研究に従事していくことを誓い、慰霊の言葉といたします。

平成21年9月11日    
秋田大学医学部消化器内科学講座 堀江 泰夫      

秋田大学医学部実験動物慰霊式