平成20年度実験動物慰霊式


 平成20年度秋田大学動物実験慰霊式が9月26日(金)午後4時30分から動物部門玄関脇にある実験動物慰霊碑前において開催されました。 午後から急に寒くなり、雨も心配されましたが、それでも 110名を越える参加者が集まり、動物実験に使われた動物たちの御霊に感謝の意が捧げられました。

  1. 開式の辞
  2. 挨  拶
    • バイオサイエンス教育・研究センター 動物実験部門長
    • 医学部長
  3. 黙  祷
  4. 慰霊のことば(藤田浩樹 医学部内科学講座 講師)
  5. 献  花
  6. 挨  拶(動物実験部門 准教授)
  7. 閉式の辞
 

 
バイオサイエンス教育研究センター 動物実験部門長挨拶

 本日は、お忙しい中を平成20年度実験動物慰霊式にお集まりいただき有難うございます。お陰様で念願であった動物実験棟の増改修工事も平成20年度概算要求で認められ、 現在工事が進められております。来年の3月には完成予定です。

 工事期間中もできるだけ実験に支障をきたさないよう、平成20年度計画推進経費にてプレハブの仮設動物舎を建てて頂くなど、 大学からも、そして医学部からもご協力をいただいております。

 増改修工事が完了しますと、3,450平米の動物実験棟が完成します。空調機器も更新され、飼育室および実験室も増え、 動物にとっても実験者にとってもより快適な施設になることと思います。

 なお、本年4月からより適切な動物実験の推進を図るために新たに秋田大学動物実験規程が制定されております。皆様におかれましては動物実験規程を遵守するとともに、 実験動物に対する感謝と愛護の精神を忘れずに研究に励んでいただきたいと思います。

 最後になりますが、秋田大学において今後とも適正な動物実験の推進を図ることを動物達の御霊に誓い、私の挨拶とさせていただきます

平成20年9月26日    
秋田大学バイオサイエンス教育研究センター動物実験部門長 佐々木雄彦   

慰霊のことば

 平成20年度秋田大学実験動物慰霊式にあたり、利用者を代表して、医学医療の発展のために尊い命を捧げていただいた多くの実験動物に対し、 謹んで慰霊の言葉を述べさていただきます。平成19年度における本学動物実験部門において実験に使用された動物は、マウス29,715匹、ラット2,917匹、ウサギ313匹、モルモット82匹、 イヌ8匹と合計33,035匹を数えました。これら多くの実験動物の犠牲により、基礎医学、臨床医学、獣医学の分野において貴重な研究成果が得られ、44編の論文、135件の学会発表がなされました。 また、18名の方が動物を用いた研究により本学で学位を取得しております。

 近年のめざましい医療の進歩は私たちがより健康に生活できるよう多くの恩恵を与えてまいりました。具体的には、様々な疾患における新たな治療法、診断法、 新薬の開発などが挙げられますが、これらは数多くの実験動物の犠牲の上に成し遂げられてきたことは言うまでもありません。私たちは、医療の発展のために犠牲となった多くの実験動物 に対し、常に哀悼と敬意の念を忘れることがあってはなりません。

 
 飛躍的に進歩し続けている現代医学においても、いまだその病態が十分に解明されておらず、十分な治療法が開発されていない多くの疾患が存在するのも事実でございます。 最近深刻な社会問題となっている糖尿病などの生活習慣病、難治性の神経疾患、悪性腫瘍など病態の解明や治療法の開発が早急に必要とされる数多くの疾患が存在しております。ここ数年の遺伝子改変 動物を用いた研究は、個体レベルでの遺伝子機能を解明するとともに、多くの疾患の複雑な病態を分子レベルで解明することに貢献してきました。今後も遺伝子改変動物を用いた研究が増加することが 予想されますが、その研究成果は未知の病態解明と難治性疾患の治療法の開発など医学医療のさらなる進歩に必ずや貢献するものと期待されます。

 このような背景から、医学医療の分野での研究を遂行する上で動物を用いた実験が不可欠となる機会が今後も増加するものと考えられますが、私たち研究者はその動物を 用いた実験が本当に不可欠なものであるのかを十分に検討し、動物実験の妥当性が得られた場合のみ実験を遂行すべきであります。安易に動物実験を遂行することなく、やむを得ず実験を遂行する必要 がある場合には、犠牲となる動物の数を最小限とし、ストレスや苦痛をできるだけ軽減させるよう配慮しなければなりません。私たちは、動物の尊い生命を犠牲にして得られた研究成果を広く社会に還元し、 医学医療の進歩が実験動物の犠牲の上に成り立っていることを伝え、実験動物の生命を尊重し続けていく努力をたえずしていかなければならないと考えます。

 最後に、本学における医学研究のために犠牲となられた動物に対し、ここに謹んで敬意を示すとともに、動物の愛護や福祉を考慮した科学的かつ倫理的な動物実験を行うよう なお一層の努力を重ねて行くことを誓い、慰霊の言葉とします。

平成20年9月26日    
秋田大学医学部内科学講座 藤田浩樹      

秋田大学医学部実験動物慰霊式