平成12年度秋田大学医学部実験動物慰霊式が9月28日(木)午後4時から動物施設玄関脇にある慰霊碑前で行われた.
三浦 亮医学部長の祭主挨拶に続いて利用者を代表して水野 大助手(小児外科学講座)から慰霊のことばをいただいた。
平成十二年度秋田大学医学部動物実験施設慰霊式にあたり、関係者を代表し、犠牲となった多数の実験動物に対し、謹んで弔辞を
述べさせて頂きます。
平成11年度に秋田大学医学部および医療短期大学において実験に供せられた実験動物はマウス5110匹、ラット5877匹、モルモット91匹、ウサギ361羽、
猫1頭、犬25頭、豚30頭、羊2頭、鶏9羽で、計11506におよびました。
これら多数の実験動物の犠牲により、基礎医学、臨床医学、獣医学において貴重な研究成果が得られ、92編の論文発表と227の
学会発表が行われています。
もとより、動物実験は医学をはじめとする生命科学の進歩に大きく貢献してきましたし、今後もヒトや動物の種々の病態解明や
疾患の治療に不可欠であると考えられます。
一方、動物福祉の観念が広く普及するとともに、研究手段としての動物実験の必要性、妥当性についても、その是非が論議される
ようになってきました。
もちろん、安易に動物実験を行うことはあってはならないことであり、動物実験にあたっては充分な検討と厳格な審議が必要であ
ります。
しかし、最も大事なことは、我々研究者は常に実験動物の“いのち”の重さを忘れることなく、研究に臨むことだと考えます。
また、実験動物の、“いのち”とひきかえに得られた研究成果を社会、ひろくは地球の生命に還元することが研究者の義務であり、
犠牲になった多くの動物に対する一番の供養になるものと思います。
最後に本慰霊式にあたり、改めて医学生物学の進歩のために犠牲となった多数の動物に対し、謝意を表するとともに、動物達が安
らかな眠りにつくことを願って慰霊のことばとさせて頂きます。
本施設を利用して平成十一年度に行われました動物実験は121件で、延べにして17,512名の方が施設を利用しております。
また、昨年度に使用された動物種のそれぞれの数は先程の「慰霊の言葉」の中で述べられておりましたが、全部で11,506匹でした。
その96%はマウス、ラット等のげっ歯類で、イヌおよびネコの使用は10年前に比べ1/10の1%以下となっております。
先程の学部長の挨拶にもありましたが、昨年の暮れに動管法が改正され、また来年春には情報公開法が施行されるなど、動物実験を
取り巻く状況は大きく変化しております。そして動物実験に向けられる一般の人達の関心もこれまで以上に高まることが予想されます。
本学部におきましては動物実験に関し動物実験委員会並びに動物実験施設運営委員会が責任を持って掌理しておりますが、実験者
の一人一人が動物福祉に配慮した適切な動物実験を心掛けていただけるようあらためてお願いする次第です。
最後に、御参加いただきました皆さまそして本日の慰霊式の準備のためにお骨折りいただきました方々に感謝いたします。