平成11年度秋田大学医学部実験動物慰霊式が9月21日(水)午後4時30分から動物施設玄関脇にある慰霊碑前で行われた.三浦 亮医学部長の祭主挨拶に続いて利用者を代表して山木邦比古助教授(眼科学講座)から慰霊のことばをいただいた。
1999年度秋田大学医学部実験動物慰霊式にあたり、利用者を代表してここに謹んで慰霊のことばを述べさせて頂きます。
1998年度の1年間において、秋田大学医学部及び医療短期大学における使用実験動物数はマウス7,024匹、ハムスター10匹、ラット7,550匹、モルモット208匹、ウサギ366羽、ニワトリ31羽、イヌ34頭、ネコ8頭、ブタ38頭、ヒツジ1頭 合計15,270の多くを数えました。その結果、150編あまりの論文及び250件あまりの学会発表がなされ、基礎ならびに臨床医学の進歩、医学生の教育に大きく寄与、貢献いたしました。
近年、生命科学は急速に進歩していますが、これらの進歩は実験動物の貴重な犠牲の上に得られた情報によって支えられていることを私達研究者は常に認識する必要があると思います。
もとより動物実験を行うにあたってはその実験が必要不可欠なものであり、尚かつその他に代替え手段がないかを繰り返し慎重に検討しなければなりません。既に樹立された細胞株を用いるなど直接動物実験を行わない研究手段を模索する必要もあると考えます。
決して安易な態度で動物実験に臨むことがあってはなりませんが、現状では動物実験を全て代替え実験に置き換えることは不可能です。やむを得ず動物実験を行う場合にも、動物愛護の精神に基づき、動物に無用の苦痛を与えないよう細心の配慮をするべきであると考えます。
このような観点から、動物実験施設では動物実験に関する講習会を定期的に開催し、また動物実験委員会では、実験計画が本学部動物実験指針に適合しているかどうかを厳正に審査していると伺っております。
これに加え最も重要なことは私達動物実験に携わる一人一人が、実験動物を大切に思い、取り扱う心構えであると思います。
本慰霊祭にあたりまして、改めて医学生物学の進歩のために犠牲となった多数の動物の御霊に対し、心より感謝の念を捧げ、慰霊のことばとさせていただきます。
秋田大学医学部眼科学講座
山木邦比古
例年、実験動物慰霊式は、動物愛護週間に合わせて行われておりますが、この次期は季節の変わり目にもあたり、天候を気にしながらの開催となっております。今年も秋雨前線の停滞により多少天候が心配されましたが、何とか無事に終われそうです。
さて、本施設を利用して平成十年度に行われました動物実験は百二十七件で、延べにして約一万名の方が施設を利用しております。
また、昨年度に使用された動物種のそれぞれの数は先程の式辞の中でも述べられておりましたが、全部で約一万五千匹でした。この数は前年に比べて、三千匹ほど少なくなっております。
先進諸国においては動物愛護思想の普及によりin vitro 法の開発を含む動物実験オータナティブが進められており、イヌやネコなどの実験動物の使用数は世界的にも減少の傾向を辿っております。
わが国におきましても動物保護法改正の動きがあることは先程の学部長挨拶にもありましたが、いよいよこの秋の臨時国会に提出される公算が大きくなっております。
また、再来年には情報公開法も施行されることから、一般の人達の動物実験への関心はこれまで以上に高まることが予想されます。
本学部におきましては動物実験に関し動物実験委員会並びに動物実験施設運営委員会が責任を持って掌理しておりますが、実験者の一人一人が動物福祉に配慮した適切な動物実験を心掛けていただけるようあらためてお願いする次第です。
最後に、御参加いただきました皆さまそして本日の慰霊式の準備のためにお骨折りいただきました方々に感謝いたします。