医学系研究科長 挨拶

秋田大学医学部は昭和45年の開設以来、着実な発展を遂げてきました。北東北における最先端の学術研究教育拠点として、その存在を全国に知らしめるべく、絶えざる努力を行って参りました。国立大学法人化以後、競争的環境の中で大学の独自性を発揮することが求められる時代になりました。秋田大学 大学院医学系研究科・医学部は平成15年に文部科学省の21世紀COEプログラム(細胞の運命決定制御)、平成19年にはグローバルCOEプログラム「生体調節シグナルの統合的研究」(群馬大学との連携)が採択され、生命科学の先端研究教育拠点として国内外から高い評価を受けることができました。
また、平成19年度には文部科学省特別研究経費(地域連携融合事業)として、「高齢社会における自殺予防の学際的研究創出事業」が採択され、東北地方の重要な社会問題である自殺問題の解決に向けて、秋田大学が中心的役割を果たしていくべき方向性が認められました。平成19年には、がん医療均てん化に向けた大学院医学系研究科の教育プログラムである「北東北における総合的がん専門職業人の養成-がん多発地域におけるがん医療均てん化のための全人的がんプロフェッショナル育成システムの構築」(秋田大学、岩手医科大学、岩手県立大学、弘前大学の共同プログラム)も採択されました。北東北の大きな医療保健の課題であるがん対策の推進において、高い臨床能力と研究能力を兼ね備えた総合的・全人的がん専門医等を養成するという意欲的な大学院教育プログラムです。このように、秋田大学医学部は「地域に根ざし、世界的視野で教育研究を発信できるグローカルな医学部」を目指します。
学部教育においては、医学科の卒前教育において、積極的にPBLチュートリアル教育を取り入れて、自らの力で考えて医学医療を実践できる人材を養成する医学教育を実践して参りました。医学部2年次から本格的な医学教育が始まりますが、チュートリアル教育と講義と実習をバランス良く配置し、将来の医師としての知識・態度・技能を確実に身につけます。大学院博士課程においては、大学院教育の実質化を強化するために、単一専攻にした上で、入学後に専門的研究を開始する前に共通の準備教育を実施するクラスター制度を導入しました。この新しいクラスター制度により時代を担う研究者養成をめざします。また、平成19年度からは医学科修士課程を新設し、将来の医科学研究を担う科学者の養成を図ることにしました。保健学科においても、平成19年度から修士課程が新設され、看護師、理学療法士、作業療法士を対象に高度専門職業人を養成する大学院教育が開始されました。
昨今、医療の地域格差と地方の医師不足の深刻化が進み、東北地方においても医師と医療水準の確保が地域の最優先課題になっています。平成18年9月、国は「新医師確保対策」を打ち出し、医師不足県における医師養成数の暫定的な調整を容認しました。秋田大学医学部においても平成20年4月から医学部入学定員の10名増が認められました。この10名増は本学では地域枠(将来、秋田県において一定期間、地域医療に従事する)にあてます。地方の医師不足と医療の地域格差は単に医師数を増加させれば解決するというものではありません。医師が地域医療において働きやすくなる労働環境の整備、医療本来の抱えるリスクに対する社会の正しい理解、医師の高いモラルを支えるあたたかい社会の視線と経済的条件、医療を経済効率からのみ捉えようとする政策の見直し、医療の質の向上へ向けたシステムの整備等、中長期的展望を見据えた対策が総合的に実行される必要があります。医学教育においては、入学から卒業までの6年間で、医師としてのモラルをしっかりと身につけさせ、地域医療に貢献する意欲を引き出す継続的な教育カリキュラムの構築が求められるでしょう。そして、何よりも教育において最も重要なことは、人間的に魅力ある教員が医学生の教育にあたり、将来どのような医師たるべきかを身をもって教えることです。
秋田大学 大学院医学系研究科・医学部、大学院医学系研究科は高い学問水準の向上と魅力ある教育環境の整備に努めており、多くの優秀な学生諸君の入学を待っております。 秋田の地で医学を志す若く優秀な人材を、私たちは心から歓迎いたします。
医学系研究科長 本橋 豊