諸外国の動物実験に関する法規制と情報公開について

松田幸久(秋田大学医学部附属動物実験施設)


講演スライド

 動管法が平成11年12月に改正され、「動物の愛護及び管理に関する法律」として昨年の12月から施行されている。動物実験については、「現行の総理府の基準に基づく自主管理を基本とすべき」として今回の改正から除外されたが、今回改正された動愛法の付則第二条に「動愛法の施行状況によっては五年後に見直す」との条項がある.このため五年後の見直しの際に社会的合意が得られない不適切な動物実験が行われていると見なされた場合には、必要以上に厳しい規制が設けられる可能性も否定できない.そのため各研究機関はひき続き適切な動物実験を推進していく必要がある.

 ところで日本学術会議第16期第7部会「生命科学の進展と社会的合意の形成特別委員会」は「教育・研究における動物の取り扱い一倫理的及び実務的問題点と提言一」において“各大学等では文部省からの「大学等における動物実験について」の通知に基づき動物実験指針を制定し、適切な動物実験の推進に努めているところではあるが、指針に盛り込まれている内容を動物取り扱いの実務に確実に反映させるには、なお「生命倫理教育の拡充」、「動物実験委員会の強化」および「実験動物施設の整備」が必要であろう”と提言している.

 この提言も踏まえ、さらに国際的なハーモナイゼーションを考慮し、今後わが国の動物実験に関する法律はいかにあるべきかを考える必要がある.そのため、今回動物実験に関する先進諸外国の法律について概説する.

 また、本年4月より情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)が施行されているが、各国立大学においては法律の趣旨に沿った情報公開に努める必要がある.国立大学医学部長会議から“「動物実験指針」、「施設利用手引き」、「動物実験委員会内規」等は整理し、いつでも開示できるようにしておく必要がある”こと、さらに、公開について検討を要する文書として、「動物実験計画書」があげられ、“計画書そのものは開示対象になるが、「個人情報」および「研究者のプライオリティー」に関する部分は不開示とし、それ以外の情報、たとえば動物の苦痛除去方法、動物の入手先等の情報は開示対象になる”との考えが示された.

 今後、情報公開法に基づき各大学では動物実験計画書の開示を求められることも多いと考えるが、その際の参考として先進諸外国の動物実験に関する情報公開の状況に関しても紹介する.
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