神経科学ニュース
- 動物実験に対する最近の社会的動向
- 情報公開法への対応について
情報公開法の施行に伴い,国の全ての行政機関において,情報の公開請求があった場合には,法の趣旨に従って真摯に受け止め対応する必要があります。国立大学における動物実験に関する行政文書も例外ではありません。
しかしながら,動物実験計画書・審査書,実験動物入手先と納品書,動物管理簿など,動物実験に関する文書の開示請求に際しては極めて慎重な対応が必要です。開示内容によっては,未発表の研究のプライオリティーが失われるのみならず,一部過激派に情報が流出することにより,実験責任者および従事者の権利と安全が脅かされかねない事態に至る危険性があることをご留意ください。
- 動物実験施設への過激動物実験反対グループの侵入について
SHACへの注意
- 今後の展望
欧米における動物実験反対運動は依然として旺盛であり,動物実験を継続するために多大な努力が払われざるをえない状況にあります。反対運動は,サル・イヌ・ネコなどのみならず脊椎動物全体を対象にしており,遺伝子組換え反対運動と連動して,マウス・ラットも実験禁止運動のターゲットになっています。ドイツでは,2002年5月,憲法にヒトと同様の権利を動物に付与するという条文を加えることが議会で決定され,動物実験に一層の制限が加えられることになりそうです。
日本においては,今後あらゆる研究機関において,動物実験に際して本神経学会の動物実験指針および各施設の規則・指針を厳正に遵守し,適正な動物実験を行うことに一層の注意を払う必要があります。他方,動物実験の必要性・正当性を国・地方公共団体・研究施設のみならず,一般の方々にも,あらゆる機会をとらえて強くアピールする継続的な努力が必要です。