ペスト(Plaque)(エルシニア感染症)

  1. 病原体

    • ペスト菌Yersinia pestis(グラム陰性通性嫌気性桿菌)
    • Yersiniaは現在8菌種に分類(その内主要なものは以下の3種)
    • 本菌の抵抗性は比較的弱く、55℃10〜15分の加熱により死滅
    • 消毒薬としては70%エタノール、0.05%塩化ベンザルコニウムなどが有効

  2. 病原体保有動物とヒトへの感染経路

    • 野生げっ歯類
    • 他にイヌ、ネコ、ウサギなど
    • プレーリードッグが最も危険
      • CDCからわが国に輸入されるプレーリードッグにペスト感染のリスクがあると伝えられる( 1999年11月 )


  3. ヒトでの症状

    • 腺ペスト
      • ヒトのペストの大部分を占める
      • 感染の多くはペスト菌保有ノミの吸血による
      • 経皮から侵入した菌は所属の腋下、鼠径部などのリンパ節で増殖
      • リンパ節の腫大
      • 突発性高熱、頭痛、衰弱、精神混濁、
      • 死亡率40〜90%

    • 敗血症ペスト
      • 経皮感染した菌がリンパ節で増殖せず、リンパ管や血管を介し、全身に伝播
      • 局所症状が出ないまま敗血症を起こし、急性にショック症状で死亡

    • 肺ペスト
      • 敗血症の経過中菌が肺に病巣をつくり肺炎を起こす。
      • 肺から排泄された菌がエアロゾルによってヒトからヒトへ感染する。
      • 突発性高熱、頭痛、呼吸困難、肺炎症状により2〜3日で死亡
      • 死亡率90〜100%

  4. 動物の症状

    • 本菌に感染した動物はリンパ節の腫大と周囲組織の出血性炎症、脾臓に腫大と多数の結節形成。

  5. 予防

    • ペスト患者と感染ネズミの上陸阻止
    • プレーリードッグが輸入禁止となる(2003年3月1日から)
    • ネズミ、ノミの駆除
    • バイオテロに用いられる可能性あり
    • 加熱死菌ワクチン、強毒菌のホルマリン処理ワクチン、弱毒生ワクチン

  6. 治療

    • 抗生物質投与(テトラサイクリン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコールなど)
back