平成9年度実験動物慰霊祭

 平成9年度秋田大学医学部実験動物慰霊祭が9月30日午後3時30分から動物施設玄関脇にある慰霊碑前で行わた.正宗医学部長の祭主挨拶および利用者を代表して南谷講師(外科学第二講座:大動物部門代表)から祭辞をいただいた。午前中に心配された雨もあがり快晴のなか130名程の参加者が慰霊碑に菊の花を捧げ、実験に使用した動物の霊を供養した。
以下に「祭主挨拶」、「祭辞」および「施設からの報告」を掲載する。

祭主挨拶

慰霊のことば

 本日、平成9年度秋田大学医学部実験動物慰霊祭を挙行するにあたり、本学部職員並びに学生・研究者を代表し、謹んで慰霊のことばを申し上げます。


学部長による祭主挨拶その1

 昨年9月からこの一年間において、本学物における医学・医療の研究のために多大の貢献をされた諸動物の御霊は、ウサギ516霊を初めとして11種14,125の多くを数えました。ここに、そのひとつひとつの御霊が安らかにご昇天されますことをお祈りし、謹んでご冥福をお祈りいたします。
 さて、私たち医学に携わる者が、医学の道を歩む過程において不可避のもののひとつに動物実験があります。なぜ動物を使った実験をするのか。私は、医学を志してから今日まで、いつも自らに問いかけてきました。それだけに、この命題は、古くて新しいことかもしれません。動物愛護が叫ばれてから久しくなりますが、実験動物の供養の場に立っている今こそ、私たちは、思いを新たにこのことを考えてみる必要があるのではないでしょうか。おそらく、臨床医学の研究分野からは人体を使った実験ができないからと言う答えが返ってくるでしょう。それは多少の差異があるにしても、基礎医学の分野であっても同じことが言えます。そうであれば、どのようにしたら動物に与える苦痛を少なくし、そして、如何に最も少ない動物の犠牲をもってして、所期の動物実験を終えることができるか、を常に念頭に置いた周到な計画を立てなければならないことは当然のことであります。そして、そのことが、信頼性と再現性の高いデータを得ることにつながり、犠牲と なった動物の霊に報いる唯一のみちと申せましょう。
 このような思いを胸にして長期間にわたり、多くの動物を自らの実験に供した研究者であればこそ、誰でもが一様に犠牲となったひとつひとつの動物を思い、供養をしようという気持ちになるのは人間の情と言うものでありましょう。
 本学で毎年行われている実験動物の霊を慰める行事のようなものが、諸外国においても行われているのか、私には定かでありません。しかし、実験動物の犠牲なくして医学・医療の進歩発展があり得ないことを考えれば、少しでも無用な苦痛と殺生を避け、犠牲になった数多くの動物に感謝の誠を捧げようとすることは、人間の感情の発露として、これまた当然のことでもありましょう。このことは毎年行われているこの実験動物の慰霊祭に参列される多くの職員並びに学生・研究生の数が如実に示していることであり、学部長として大変ありがたく、またうれしく感ずるところであります。


祭主挨拶その2

 ここに、永年にわたり本学部における医学医療の研究のために犠牲となった数多くの動物の御霊に心からの感謝の誠をつくすとともに、この一年間に新たに祭られた11種類、14,125の動物達の御霊よ安らかに眠れとお祈りし、慰霊のことばといたします。
平成9年9月30日    
秋田大学医学部長    
正宗   研      

祭辞
動物施設ホームページへ